■Zincの役割
■MMPの中のZinc
■Juvenを飲んでみた
Wound healingにはZincと口々に言うけれど、ではどうしてZincが必要なの?と聞かれたら、という話です。大きな潰瘍がある高齢の方がいて、看護師がZincのサプリメントが必要だと言うので、今日はそれについて書いてみました。
Zincの役割
Wound healing におけるZincの役割は、次のようなものです。
Collagen formation(コラーゲンの形成)
Protein synthesis(タンパク質の生成)
Immune function(免疫機能)
Cell membrane stability(細胞膜の安定)
Zincは、私たちが普段口にする一般的な食べ物(肉や卵、魚など)に含まれてるので、バランスのいい食事が普通に取れているのであれば、特にZincのサプリメントを摂る必要は無いとされています。
血液検査などで不足が判明した際でも、サプリメントは7~10日間程度の期間限定が推奨されていて、服用量は220mgを一日二回です。(以上「Acute & Chronic Wounds」より)
MMPの中のZinc
Wound healingには、様々なMMP (matrix metalloproteinase)というたんぱく質分解酵素が関係しています。MMPは、複数の化学物質が連なった構造になってできています。構造の中には、Zincが入っていて、このZincの働き無しには、細胞の再構築つまりWound healingがなされない、ということになります。といったわけで、Wound healingにおいて、とても重要なミネラルの一つなのです。
Juven プロテイン・サプリメント
この患者さんは、「Juven」というプロテインサプリメントを飲むことになりましたが、その中にZincは9.5mg入っているようです。一日2回なので、約20mgというところですね。最低でも2週間は飲むことになります。
患者さんによっては、サプリメントに好き嫌いがあるのですが、この患者さんは、オレンジ味のJuvenを普通に飲めたようなので、良かったです。
ただ、パッケージに「ジュースと一緒に飲んでも可」と書かれているのを読んで、クランベリージュースと一緒に飲みたいというリクエストがありました。100%ジュースじゃない、普通の甘いジュースです。
糖尿病がある患者さんなので、「クランベリージュースは甘いなあ…」と思いましたが「パッケージにそのようにインストラクションが載っているのだから飲んでいいはず」といいはってききません。
そのパッケージに「ジュースと一緒でもOK」の表示を、せめて「100%ジュース」とかもうちょっとlimitation付きで書いてもらえたら良かったなあ…。
Juvenを飲んでみた
以前うちに郵送で送られてきたJuvenのサンプルがあることを思い出して、飲んでみました。
オレンジ味です。この他に、フルーツパンチと、オレンジ+いちご味、なんかもあります。オレンジ味が一番一般的な感じです。
Juvenのプロテインの特徴は、タンパク質が分解されて分解されて、さらに分解された先にある、最終的に細胞に入る成分が最初から用意されている点です。てっとり早くタンパク質が細胞に入る感じでしょうか。
一日二回か~。正直…毎日一日二回は少し大変だ…。味的にはそんなに… ジュースみたいには美味くない(すみません!)。でも、これはそもそも、お薬的なものですもんね?
でも、患者さんが言うには、ジュースを混ぜたり、氷を入れたり、冷やしたり、いろいろ工夫をすると、それなりに飲めるようです。Wound healingのためですもんね、頑張りましょう!
参考文献/Referece
Bryant, R. A., & Nix, D. P. (2016). Acute & chronic wounds current management concepts (5th ed.). ELSEVIER.