■看護プログラムで習わないこと★創傷ケア #72

看護プログラムでのWound Careのセクションの扱いはひどいものでした。ものの3分、どころか、たぶん1分くらいだったかもしれません。

「ああ、Woundはね(先生の口調がかなり面倒くさそうに)、何のことはない、dryだったらmoistに、wetだったらdryに、ただそれだけのこと」で終わったんです。

それなのにも関わらず、シミュレーション・ラボの際、私の役目(RN)にシナリオ内で課されたタスクが「reinforcing the wound dressing」というもの。

「補強?」「ドレッシング材の補強って?何をどうやって?」と、文字通り、「I have no idea.」という感じでした。

うろたえていたんでしょうかね、その場で自分が何をどうしたのかあまり覚えていませんが、シナリオ終了後の先生からのコメントの言葉は覚えています。「Wound careに至っては、最低でしたね」って。

教えてもくれてないのに、そのコメントはちょっと…という感じ。

しかも、先生から来た「答え」は、既存のドレッシング材はそのままに、その上に、ABD(Abdominal Dressingと言うちょっとフカフカした布団みたいなドレッシング)を当てて、テープで4面を止める、というもの。

これはですね… 実際の看護現場で、こういうのは100%有り得ません。

今思うと、あれは一体どういう教えだったのでしょうか。

看護プログラムで習ってないので、新卒で働きだした時も、私の中でWound Careは「好きだ」という気持ちはあっても「でもわからない」分野でした。

他の看護師に聞いても「トリートメントブック(TAR)に書いてある通りにやればいいだけ」とか、「交換前のドレッシングと同じのを貼ればいいだけ」とか、やる気の欠片もないような返事ばかりでした。

TARに、「Tegadermで…」とか書かれてても、その「テガダーム」が何なのかがわからない。最初は本当に時間がかかりました。誰か一人でも、最初にきちっと教えてくれる人がいたら良かったのに。そこで勤務したかった一番の理由はディレクターがWound Care Nurseだったから、なのですが、ディレクターはいつも居なく、教えてくれる立場の人じゃなかった。

松島奈々子が「救命救急24時」で、江口洋介に向かって「ちゃんと教えて下さい!」って叫ぶ、あのシーン。いちいちそんなちゃんと手取り足取り教えてくれる人なんて何処にもいないよ…と思った。現場は総江口洋介なんですよ。「出来る」的な観点じゃない方で。

看護師だけじゃなく、医師も創傷ケアに関してはほとんど勉強しないと思います。

トリートメントのオーダーを貰うために、医師に電話することがありますが、約一名、医師で、毎回(2回そんな感じだったので、もう電話しません)ちょっと、ヒステリックに「僕はね、そんなこと学校で習って来てないから。何で僕に電話してくるの?」みたいな感じで…。それは貴方が担当の医者だから…なんですが、どの医師に対しても、オーダーの際の電話にはそれなりに多少気を遣います。

外科医は、分野柄、創傷に一番近い医師になるので、創傷に関して何か質問がある時は、その相手は外科医になります。

何かのアンケートとかで「専門分野」とか聞かれる際、創傷はいつも「その他」の部分。その他なんですよね…。もっと言えばですね、外科医とフロアの看護師がいれば事足りる的な、微妙な立ち位置なんです。