コンサルティングの定義 #274

患者さんに新しい創傷や潰瘍が出来た時、外来の患者さんや入院患者さんいずれの場合にも「創傷ケアコンサルティング (Wound Care Consulting)」の依頼が来ます。

最近、某インフルエンサーの方が「コンサルティングは成功体験の切り売り」とおっしゃっているのを耳にし、「なるほど、確かにその通りかもしれない」と思いました。

しかし、同時に「コンサルティングは失敗体験の切り売り」でもあるとも言えます。

先週末から、某患者さんの左足に出来た潰瘍に、Wound VACを当てて治療しています。NPWT(陰圧閉鎖療法)です。潰瘍の大きさは4cm x 2 cm。それまで順調に回復していたかのようでしたが、回復スピードが止まり創床が深くなった時点でNPWTに切り替えました。

この患者さんは、様々な健康問題を抱えており、褥瘡をはじめ、MASDやその他、皮膚のダメージが体のあちこちにあります。何年前かは不明ですが、左足の小指は過去の切断手術によって既になくなっています。足の潰瘍は、時に、あっという間に悪化して、更なる切断になってしまう恐れがあるので、状態が変わったら、ゆっくりしていられません。

Long-Term Care UnitにおけるNPWTの使用費用は、施設側の自腹になるため、施設側は使用を嫌がります。一日にかかるNPWTの施設側の出費は、サプライだけで約$120。これに人件費などを含めたらもう少しいきます。専門医の予約の日まであと2週間はあります。施設側にとって、少なくとも$2000~$3000の出費になってしまうのですが、そうだとしても、その費用と足の切断リスクは、とても天秤にかけられるものではありません。

過去に医師や施設側の承諾がなかなか降りなかったせいで、NPWTを使用することが出来ず、潰瘍がみるみる悪化してしまった患者さんがいます。幸いにも、患者さんは個人の意思と判断で退院し、すぐに近隣病院でNPWTによる治療を受けることができましたが、本来そのようなことがあってはいけないです。

というわけで、コンサルティングは失敗体験の切り売りでもある、と思った次第です。

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