■antimicrobial stewardship ミーティング
■antimicrobial stewardship のバリア
■ぞっとしたこと
antimicrobial stewardship ミーティング
昨日、Agのドレッシング材の件で、「antimicrobial stewardship」について少し触れていますが、考えてみたら、明日ミーティングだった、と今日思い出し(!)、今日の夕方、急遽、SNF/Rehab のデータ収集をしました。以前、SNFのデータ収集をする人がいなかったので、何故か病院内の薬局のマネージャーとSNF/Rehab の前マネージャーの両者に頼まれてデータ収集をしたら、なんだかいつも私がその係になってしまっていました。
まあ、いいか、と思いながらいつもやっていましたが、SNF/Rehab に新マネージャーが来たので、じゃあ、私はもういいか、と思っていたら、ミーティングの取りまとめの人から、前回のミーティングから、SNFから誰も出席していないとの連絡。
ええええ…⁈ 何故マネージャー出ない? と言うのは私の知ったこっちゃないのですが、しょうがないので、急遽またデータ収集を…。
このミーティングは、3か月毎に、年4回行われます。出席者は、薬剤師、医師の中から1人、エピデミオロジスト(外部のドクター)、Labマネージャー、Risk management、SNF/Rehab のマネージャー、Infection Control、そしてWound Care Nurseの私。何故かMed-Surgからとか、その他の部署からは誰も呼ばれないという、なんとも偏ったメンバー構成です。
SNF/Rehab だけが(少なくても2年前から)感染症に関する治療履歴や抗生物質の種類、等々、統計的な情報を提出していて、それについて、「ちょっとこの抗生物質の使い方はどうなんでしょう」とか、処方した担当医師が「陰で(ミーティングで)」あれやこれやと言われている、という感じのミーティングです。外部のエピデミオロジストが電話で参加していて、先頭に立って、「これではいけまんせね」的な発言をします。
antimicrobial stewardship のバリア
Med-Surgの抗生物質の使用履歴等については、薬剤師が収集することになっていますが(うちでは)、何故か、薬局のマネージャーは、入れ替わりが多く、結局なあなあで、データが出ないのが常です。外来に関しては、もう全く、圏外、という感じです。
抗生物質の使用は、どう考えてもMed-Surgの方が多いわけで、加えて、外来のクリニックだって、処方は有るはずでしょうに、それらには全く触れられていません。
そして何よりも一番ネックなのは、ミーティングに医師が出席しない事…。ミーティングのメンバーに医師は入っているので、メールは行っている筈です。
あれやこれやと皆さんでディスカッションをしても、それが結果的に医師達には伝わらず、誰もその役目を引き受けたくない、というのが現状です。
やっぱり、医師は知識的にも立場的にも、スタッフの上に立っているので、その医師に向かって、誰もああしろこうしろ、とは言えないし、言いたくもないのです。
でも、何も医師に「この処方はちょっと…」とか、そんな事を言うことばかりじゃなくて、他に出来ることが多くありますでしょうに、とかく、いろんな事がさっさと進まない事実に…ちょっとフラストレーションを感じます。(残念ながら、うちは。)
政府は、ミーティングの中味について、もっと「強制」するべきなんじゃないのかなあ、と思います。
ぞっとしたこと
尿路の感染症(UTI)の原因菌は、7割方からそれ以上がE-Coliと言われていますが、この度、患者さんの原因菌の結果を見てびっくりしました。ほぼ全員と言ってもいいくらいのパーセンテージでESBLが検出されていたことです。
2年前はこんな感じではなくて、ESBLの数は少なかったのです。増えないようにしないと的な話をしていたのです。
ESBLとは、Extended Spectrum β-lactamase のことで、日本語では、基質拡張型βラクタマーゼと言います。〇〇ーゼとつくと、ご存じのようにそれは酵素で、酵素というのは通常、特定の何かを分解する成分です。この酵素が何を分解するのかと言うと、抗菌薬です。抗菌薬を分解=抗生物質が効きにくい、抗菌薬に対して耐性を示す、ということになります。
でも、どの抗生物質も効かないわけではありません。効くのもあります。例えば「Zosyn (piperacillin / tazobactam)」などはよく処方されます。
しかしながら、今のところ、100%の確率で効く、効き目が最高と言われている抗生物質もあります。それは何かと言うと、最後にペネムとつくカルバペネム系の抗菌薬です。でも、これは、本当に怖い話ですが、医療界の「最後のお札」です。
これが効かなくなったら、その時は、新しい物が開発されない限り、もう使えるお札が残ってない、ということになってしまいます。
そして、もっと怖いのは、それがもう既にちょこちょこ処方されている事実…。
その薬でなくても、2番手、3番手くらいでも効く場合があっても、医師によっては、さらっと処方してしまう…。いや、もしかしたら、苦渋の選択の訳があるやもしれぬ… けど処方の事実は事実なわけで…。
更に
もしかして…と思うのは、Rehab の患者さんは短期で退院をしていくとしても、SNFというのは、患者さんがそこに住んでいる感じで、いつもいるわけです。同じメンバーが。
これ… スクリーニングをしたら、もしかして高い確率で、皆んなからESBLが検出されるんじゃ…?と思ってしまった。
全員とは言わなくても、同じ棟の人達とか…。
そして、最近では、医療施設内だけじゃなく、コミュニティ内での発症率も増加している傾向にあります。
この増加のスピードは速くて、怖いです。
昨日たまたま、最近出た「ニュートン」という雑誌で、寄生虫について読んだので、バクテリアといい、寄生虫といい、怖い怖い怖い…。怖すぎる。