■Antimicrobial Stewardship用資料★ぞっとしたこと #135

■antimicrobial stewardship ミーティング

■antimicrobial stewardship のバリア

■ぞっとしたこと

antimicrobial stewardship ミーティング

昨日、Agのドレッシング材の件で、「antimicrobial stewardship」について少し触れていますが、考えてみたら、明日ミーティングだった、と今日思い出し(!)、今日の夕方、急遽、SNF/Rehab のデータ収集をしました。以前、SNFのデータ収集をする人がいなかったので、何故か病院内の薬局のマネージャーとSNF/Rehab の前マネージャーの両者に頼まれてデータ収集をしたら、なんだかいつも私がその係になってしまっていました。

まあ、いいか、と思いながらいつもやっていましたが、SNF/Rehab に新マネージャーが来たので、じゃあ、私はもういいか、と思っていたら、ミーティングの取りまとめの人から、前回のミーティングから、SNFから誰も出席していないとの連絡。

ええええ…⁈ 何故マネージャー出ない? と言うのは私の知ったこっちゃないのですが、しょうがないので、急遽またデータ収集を…。

このミーティングは、3か月毎に、年4回行われます。出席者は、薬剤師、医師の中から1人、エピデミオロジスト(外部のドクター)、Labマネージャー、Risk management、SNF/Rehab のマネージャー、Infection Control、そしてWound Care Nurseの私。何故かMed-Surgからとか、その他の部署からは誰も呼ばれないという、なんとも偏ったメンバー構成です。

SNF/Rehab だけが(少なくても2年前から)感染症に関する治療履歴や抗生物質の種類、等々、統計的な情報を提出していて、それについて、「ちょっとこの抗生物質の使い方はどうなんでしょう」とか、処方した担当医師が「陰で(ミーティングで)」あれやこれやと言われている、という感じのミーティングです。外部のエピデミオロジストが電話で参加していて、先頭に立って、「これではいけまんせね」的な発言をします。

antimicrobial stewardship のバリア

Med-Surgの抗生物質の使用履歴等については、薬剤師が収集することになっていますが(うちでは)、何故か、薬局のマネージャーは、入れ替わりが多く、結局なあなあで、データが出ないのが常です。外来に関しては、もう全く、圏外、という感じです。

抗生物質の使用は、どう考えてもMed-Surgの方が多いわけで、加えて、外来のクリニックだって、処方は有るはずでしょうに、それらには全く触れられていません。

そして何よりも一番ネックなのは、ミーティングに医師が出席しない事…。ミーティングのメンバーに医師は入っているので、メールは行っている筈です。

あれやこれやと皆さんでディスカッションをしても、それが結果的に医師達には伝わらず誰もその役目を引き受けたくない、というのが現状です。

やっぱり、医師は知識的にも立場的にも、スタッフの上に立っているので、その医師に向かって、誰もああしろこうしろ、とは言えないし、言いたくもないのです。

でも、何も医師に「この処方はちょっと…」とか、そんな事を言うことばかりじゃなくて、他に出来ることが多くありますでしょうに、とかく、いろんな事がさっさと進まない事実に…ちょっとフラストレーションを感じます。(残念ながら、うちは。)

政府は、ミーティングの中味について、もっと「強制」するべきなんじゃないのかなあ、と思います。

ぞっとしたこと

尿路の感染症(UTI)の原因菌は、7割方からそれ以上がE-Coliと言われていますが、この度、患者さんの原因菌の結果を見てびっくりしました。ほぼ全員と言ってもいいくらいのパーセンテージでESBLが検出されていたことです。

2年前はこんな感じではなくて、ESBLの数は少なかったのです。増えないようにしないと的な話をしていたのです。

ESBLとは、Extended Spectrum β-lactamase のことで、日本語では、基質拡張型βラクタマーゼと言います。〇〇ーゼとつくと、ご存じのようにそれは酵素で、酵素というのは通常、特定の何かを分解する成分です。この酵素が何を分解するのかと言うと、抗菌薬です。抗菌薬を分解=抗生物質が効きにくい、抗菌薬に対して耐性を示す、ということになります。

でも、どの抗生物質も効かないわけではありません。効くのもあります。例えば「Zosyn (piperacillin / tazobactam)」などはよく処方されます。

しかしながら、今のところ、100%の確率で効く、効き目が最高と言われている抗生物質もあります。それは何かと言うと、最後にペネムとつくカルバペネム系の抗菌薬です。でも、これは、本当に怖い話ですが、医療界の「最後のお札」です。

これが効かなくなったら、その時は、新しい物が開発されない限り、もう使えるお札が残ってない、ということになってしまいます。

そして、もっと怖いのは、それがもう既にちょこちょこ処方されている事実…。

その薬でなくても、2番手、3番手くらいでも効く場合があっても、医師によっては、さらっと処方してしまう…。いや、もしかしたら、苦渋の選択の訳があるやもしれぬ… けど処方の事実は事実なわけで…。

更に

もしかして…と思うのは、Rehab の患者さんは短期で退院をしていくとしても、SNFというのは、患者さんがそこに住んでいる感じで、いつもいるわけです。同じメンバーが。

これ… スクリーニングをしたら、もしかして高い確率で、皆んなからESBLが検出されるんじゃ…?と思ってしまった。

全員とは言わなくても、同じ棟の人達とか…。

そして、最近では、医療施設内だけじゃなく、コミュニティ内での発症率も増加している傾向にあります。

この増加のスピードは速くて、怖いです。

昨日たまたま、最近出た「ニュートン」という雑誌で、寄生虫について読んだので、バクテリアといい、寄生虫といい、怖い怖い怖い…。怖すぎる。