■Cellulitis(皮膚の化膿性炎症)
■Tattoo(タトゥー)
■Immune cells (皮膚の免疫細胞)
■Cellulitis(皮膚の化膿性炎症)
Cellulitisで入院していた患者さんがフォローアップのため外来に来られました。
Cellulitisとは、皮膚レイヤーの「Dermis(真皮)」という部分のバクテリアによる感染症です。皮膚の一番上の部分は「Epidermis(表皮)」そしてその下が「Dermis(真皮)」です。
その箇所は、赤紫色に赤くなり、腫れのために皮膚は光った感じになり、触ると熱く、誰の目から見ても「ちょっとこれ病院に行かないと駄目じゃない?」というような見た目になります。圧力により、痛みも伴います。
中に膿が有る場合は、その圧力で皮膚が破れ、潰瘍になってドレナージが流れ出す場合も多いです。
治療が遅れると、感染はその箇所だけにとどまらず、全身に広がります。熱が出たら危険です。すぐに病院に行って下さい。抗生物質の治療無しには回復は難しく、状態がひどい場合は入院になるでしょう。
■Tattoo(タトゥー)
この患者さんの手足は、皮膚がほとんどTatooで埋まっていました。
アメリカではTatooをしているからと言って、職業に支障を来たさない場合も多く、某記事によるとTatoo人口は10%に上ると言われています。10人に1人はTatooをしている、ということです。周りと見渡しても、Tatooをちょっと入れているスタッフは何人もいます。服で隠れる場所を含めたらもっといるのかもしれません。
Tatooを入れること自体は、きちんとした場所で施術すれば、それほど危険なものではなく、肌に入れたインクからの副反応も少ないとされています。
しかしながら、肌にTatooを入れる前に、そのインクが肌のどこへ入るのか等について考えてもらいたいな、と思います。何故なら、Tattooを入れることによって、外敵から皮膚という「臓器」を守る自然の力が損なわれる可能性もあるからです。
Tatooのインクは、皮膚の大きく分けると2番目のレイヤーである「Dermis(真皮)」の部分に入ります。前述のCellulitisと呼ばれる肌の感染症が起きる場所と同じ場所です。
そして、ここ「Dermis」には、外敵から皮膚の細胞組織を守る免疫細胞が多く存在しています。
■Immune cells (皮膚の免疫細胞)
皮膚の中の免疫細胞達は、針を指したり転んで擦り傷を作ったり、そんな些細だと思われるイベントの際にも外の外敵と戦っています。小さな傷だとほとんどの人はほっといても治ると思うと思いますが、それも免疫細胞が戦ってくれているおかげです。
どんな些細な傷だろうと、免疫細胞が戦えなければ、侵入したバクテリアのために感染が広がる危険性は常にあります。
皮膚の免疫細胞が多く存在する「Dermis」に、いたるところにTattooのインクがあったらどうでしょう。本来の力で外敵から守れるでしょうか。
普段、何も無い場合は良いとしても、年齢が上がって糖尿病や高血圧病などの基礎疾患が出てきたり、肥満による心臓疾患などが出てきたりすると、肌にも変化が表れます。
糖尿病による潰瘍や、血流や血管の弁の障害による潰瘍などが出来た場合、そこからバクテリアは簡単に侵入します。その際、その箇所の免疫細胞に頑張ってもらわなければいけません。
Tattooを否定するわけでは決してないし、Tattooをしていても健康に暮らしている人はたくさんいます。
でも、外来に来られた患者さんの状態を見ると、やはりTattooが入った皮膚の細胞組織を考えずにはいられませんでした。
Reference
Islam, P. S., Chang C., Selmi, C., Generali, E., Huntley, A., Teuber, S. S., and Gershwin, M.E. (2016). Medical complications of Tattoos: A comprehensive review. Clinical Review Allergy Immunol. 50(2), 273-286. doi: 10.1007/s12016-016-8532-0. Retrieved from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26940693/
Think Before You Ink: Health Risks Associated With Tattoos. Drugs.com. Retrieved from: https://www.drugs.com/slideshow/tattoo-health-risks-1233