■糖尿病が進んでいる方は、迷わず足の専門医に爪を切ってもらいましょう
■ピンサー・ネイル(Pincer nail)
■フットケアナース
■糖尿病が進んでいる方は、迷わず足の専門医に爪を切ってもらいましょう
足に潰瘍がある糖尿病の患者さんが、最近のものであろうと思われる血を足の各指先につけて現れました。
「どうしたんですか?これ」と聞くと、苦笑しながら、「足の爪を切ったらこうなった。血が出ちゃって」とのこと。
血が出ちゃって~、じゃないです!
糖尿病が進んでる方は、小さな傷もなかなか治りにくく、大きな潰瘍に発展したりします。指先だろうがどこだろうが… 笑い事ではありません。
身体の大きな方で、自分の足先によく手が届きましたね!と感心するくらい、いわゆる…肥満の方です。
「これからは、足の爪はフット・ドクターに切ってもらって下さい。予約を入れますから」と言って、自分で切らないようお願いしました。
糖尿病の方は、その進行具合により、半年に一度、一年に一度、というように、足の専門医に定期健診してもらうことを強くお勧めします。歯のチェックアップを半年に一回するのと同じ感じです。糖尿病の方が足の専門医に半年に一回チェックしてもらうのは、保険でもカバーされます。ただし、保険でカバーされるためには、医師は、その患者さんに「Diabetic Sensory Neuropathy」ある旨を明記してなければいけません。
糖尿病の方は、必要によっては、処方箋による靴を勧められる場合もあります。これは型を取って作るカスタムメイドの靴です。
定期的なチェックアップをすることによって、創傷等も初期の段階で発見できたり、治療できたりするので、足の爪を切るだけじゃないメリットがあります。
ちなみに、足の爪は、通常2か月に一回くらい切ってもらうので、そういう意味では、チェックアップも2か月に一回してもらえる感じになります。
糖尿病があっても無くても、足の爪は硬かったり、カビ菌で黄色くなっていたり、変形していたり、本人も家族もお手上げのケースも多々あります。下手に手を出して、この方のように血だらけになるケースもあるので、是非、足の専門医に切ってもらって下さい。
■足の爪を切って血だらけになるケース
Med-Surgは、Acuteなので、患者さんの爪を切る作業はありませんが、SNFになると、看護師が足の爪を切ってあげたりする機会もあります。施設にもよるでしょうが、糖尿病がなかったら看護師が切り、糖尿病があったら、足の専門医に回す、というケースが多いです。
でも、看護師が足の爪を切ってあげて、血が出ちゃった、ということが時々あります。切られた方も切った方も、慌てふためく感じになります。
よくあるのは、ストローや巻貝みたいに、クルッとカールして突出してる爪です。「ピンサー・ネイル(pincer nail)」と呼ばれます。
一見、爪が突出しているだけで、そこを切れば良いだけだと思うのですが、そのカールの中に皮膚が入っているので、それも切られてしまい、血だらけになってしまいます。
なので、この形の爪は要注意です。
ピンサー・ネイルになってしまう原因は、基本的には、はっきりわかっていませんが、靴などによる圧、糖尿病、カビ菌、生まれつき、等々いろいろあります。
これ以外で、血が出るのは、爪の端っこを切りすぎたとか、爪の下を確認せずに切って、皮膚も切っちゃうタイプ。
いずれにせよ、そういうわけで、看護師は、大体、患者さんの爪を切りたがりません。
■フットケアナース
ほとんどの看護師は足の爪を切る作業を好まないし、適切なツールも無いので、フットケアナースへのワークオーダーは、社内開業みたいに初めてから(私の収入は1セントも増えませんよ)よく来ます。
でも、これは決して、足の専門医の仕事と類似するものではありません。
あくまでも、COVID-19で外出が出来ない間の、簡易措置です。逆に、足の専門医も、今は、感染防止のため、SNFを訪れることができない決まりになっています。
この自粛期間があけたら、従来通り、足の専門医に診て貰ってね、ということです。