■医師を擁護するのも仕事(患者さんからの苦情)#239

■医療業界はサービス業

■医療現場のカスタマーサービス

■医師を擁護する

■医療業界はサービス業

医療業界は、基本的にサービス業です。患者さんにサービスを提供してお金を頂く。患者さんは、自分の好きな病院やクリニックを選んで行きます。

事前にネットで調べて、出来れば★4つの医師に診て貰いたいし、★2つの医療施設には行きたくない。これは普通の人の心理かと思います。

特に、保険会社から医療機関に支払われる医療費は、患者さんが受けたケアに対する満足度で、少なくなったりもします。でも、苦情は、よく理解しないで、速攻で電話をしたりする人もいれば、苦情を警察に出したりする人もいて、それでも、苦情は苦情として受け止められるので、医療機関側も、どのような患者さんでも誠意をもって対応しないと(それが普通なのですが)あとで大変なことになったりします。

病院側も、患者さんがいないと、経営が成り立っていかないので、患者さんが病気にならないようにと言う予防医療には現実問題あまり力は入ってません。

それは、Public Health(公共医療)の分野におまかせです。

■医療現場のカスタマーサービス (外来)

外来では、待たせない医師が話をよく聞く、というのが2大重要ポイントです。勿論治療内容もきちんとしている、というのが前提です。

両方あったら最高ですが、このどちらかだけでも、患者さんはそれなりに満足してくれます。

どちらもないのは問題外です。

2つのうち、どちらが重要かと言うと…話をよく聞いてあげる、でしょう。

うちの足の専門医は、一日に50人くらい診るので、殺人的な忙しさで、とにかく患者さんは待たせられる。特に午前の最後の方の患者さん、午後の最後の方の患者さんは、時間がおされておされてもう大変。

でも、話をよく聞いてくれるので、ほぼ誰も文句を言いません。こんなに忙しいのに、聞くどころか、自分から話題(治療に関係なかったり)を出したりするので、患者んさんは喜びますが、メディカルアシスタントはいつも「もう~…」という感じです。

私も一緒に入った時に、その専門医が子供の話を始めたので、内心「あ~、もう~、自分の子供の話などしてる場合じゃない~」と他の患者さんの心配をしてしまいましたが、その患者さんは、部屋を出る時ニコニコして「本当にいいドクターね」と言って帰られました。

パッパと、時間を押さず、待たせない医師もいます。ですが、やっぱり「あの医者は私に指1つ触れなかった。それで本当にどこが痛いかわかるの?持参した薬だって見てくれなかった。」とか、後で言われることが多々あります。

でも、医師の薬のチェックがあまりにササっとしてて(早くチラッと見ても、わかることってありますしね)、患者さんの目に留まらなかっただけだったり、ということもあります。それに、基本的に、ボトルを手に取ってみなくても、コンピュータに入っているし、必ず見ないといけないわけでもありません。でも、カスタマーサービス的に、手に取ってみてくれたら患者さんも、家からせっかく持って来たのだから嬉しいわけです。

どの患者さんも、自分の家から忘れずにわざわざ持って来たというその作業を認めて貰いたいのです。

「え?ちゃんと見てたでしょ?ちゃんと確認してくれてたよ」と言うと「え?そう?そうだった?そうだったんだ。喋ってて気づかなかったのね。」ということになったりします。

だから、その場に看護師がいると、医師も何かと楽なんじゃないかと思いますが、アメリカの外来には、看護師は基本的にいないです。

医師とメディカルアシスタントで回っています。メディカルアシスタントは、外来のお部屋に一緒に入っていることはありません。

待たされている間も、何かと声をかけてあげたり、時々入って、待たせて申し訳ない、という旨をお伝えすると、患者さんも「忘れられてるわけじゃないのね」となって、我慢して下さいます。

先日、待たせてる患者さんに対してメディカルアシスタントが「well.. there is nothing I can do about it.」と言っていたのですが、その患者さんは猛烈に怒って、帰ってしまいました。

■医師を擁護する

二言目にはすぐに「これって訴えること出来るよね」という患者さんがいます。

今日来られた患者さんが、その患者さんです。

「今日は足の専門医に診て貰えるの?」と聞いてきました。「今日は、その予約じゃないからいませんよ」と言うと、「足の専門医に対して病院に苦情を出したいんだけど、どう思う?」と聞かれました。

え?苦情?あれだけきちんと話を聞いてくれて、意見を言ってくれて、足のcallusも削ってくれた医師に対して苦情を?という感じです。

「私の足は、結局、手術を受けることになりました。でも、あの専門医は手術を勧めてくれなかった」という苦情だと言います。

それは、貴方がいずれ手術を受けるかもしれないという前提のもと、セカンドオピニオン的に手術以外のオプションはあるかと、いうことで意見をもらったのであって、あの専門医はきちんと貴方に、今貴方が出来る事というオプションを話してくれたでしょう?と言うと、「oh.., well.., but …」となって、結局、手術をなかなかしてくれない、片方の医師に対するフラストレーションがこちらに回ってきている、という感じでした。

でも、それがなかったら、彼女は、病院に苦情を出していたと思います。これは、擁護というより、単に看護師の仕事の1つです。

こんなに真剣に、患者さんに寄り添って対応しても、それでも苦情が出されたりすることがあります。

ネットで、個人名を出されて苦情が書かれることもあります。

コミュニケーション第一なんですが、それでも、出される時は出されてしまいます。

なので、「記録」が大事です。