Wound care サプライを保険でカバーするには

■Wound careはお金がかかる

■保険でサプライをカバーする

■Wound careはお金がかかる

Wound careは何かとお金がかかります。治るのに時間を要するWound も多いので、その間のドレッシング材なども自分で買ったりすると結構お金がかかります。

また、静脈性潰瘍などは繰り返し起こることがあって、繰り返し起こるようになると、治りにくい状態でもあるので、更に長くかかります。

若い人は、比較的治りも早く、情報量も違うし、フットワークも軽いので、サプライ問題はあまりありません。しかし、高齢者になると、説明しても、家でちょっと布っぽい素材の良いペーパータオルがあると、それをドレッシング材の代わりに使用したりしてしまう人もいらっしゃるし、アマゾンでショッピングというのもあまりありません。

結局、外来で、何日か持つドレッシング材を使用して、フォローアップでまた外来に来てもらう感じになることが多いです。

これを購入してください、と言って、そうですか、と購入する人はまず皆無なので、あまりこれを買って下さいとは患者さんには言いません。中には「これは自分で購入できますか?」と聞いてくる患者さんがいますが、そういう患者さんは、そもそも何度も外来を訪れず、一回目で学習して、何日か後にフォローアップに来て終わり、というような感じです。

サプライは、ドレッシング材1つとっても、病院の購入価格でさえ一枚10ドル以上したりするものもあり、とかくお金がかかります。(うちの病院ではこのような高級なものは使用しませんが、大きな大学病院などでは、普通にサラッと使用します。)

個人で同じドレッシング材を買うとなると、非常に高く、これをする人はあまりいないでしょう。コンプレッションのキットなどは、更に高いし、自分でコンプレッションのドレッシング材を家でする人はまずほとんどいないと言ってよいのではないでしょうか。

■保険でサプライをカバーする

では、保険でサプライをカバーするのは無理なのか、というと無理ではありません。

でも、患者さんがそのまま、ドラッグストアのファーマシーの窓口で「この保険があるのですが、保険でカバーされますか?」と聞いても、拉致があかない筈です。

一番てっとり早いのは、主治医に訪問看護をお願いする方法です。主治医が訪問看護のリファーラルを出してくれると、訪問看護のエージェンシーが、サプライを注文してくれます。年齢は関係ないです。高齢者だけではなく、若い方でも歩行困難な方や、事情により外出して外来に来るのが困難な方など、状況は様々です。

主治医がWound careについて詳しくない場合でも、訪問看護師が最初の訪問時にエバリュエーションをして、主治医にこのようなケアでいいかどうかをコンタクトして了承を貰うと、それでケアがスムーズに始まる場合もあります。

主治医が、専門医にリファーラルを出した場合は、専門医経由で訪問看護エージェンシーにWound careの詳細を、最初から細かく指示する場合もあります。

いずれにせよ、訪問看護師がケアに加わると、サプライの心配は要りません。

さて、訪問看護を受けない場合。これは、訪問看護師側が何等かの事情で断るケースがほとんどです。患者さんがノンコンプライアンス、患者さんの家が訪問可能圏外、患者さんが訪問を拒否、など、理由は様々です。

この場合でも、外来で、スタッフが書類を作成してサプライのベンダーさん(サプライを販売している会社)に申請をすれば、ベンダーさんが保険会社を通して支払いを確認し、サプライを家に送ってくれます。

この作業を主治医や主治医のアシスタントがしてくれるかどうかは、そのクリニック次第です。が、保険によっては、また、Wound の状態によっては、サプライは保険でカバーされます。

余談

ここで、困るのが、サプライだけ手に入れて、外来に来なくなってしまうケースです。

プロファイリングをするのは、申し訳ないのですが、この患者さんは大丈夫かな、とアセスメントするのは必要です。また、外来の予約を「NO Show」で頻繁にすっぽかす方、治りかけて来たら予約に現れず、後に悪化した状態でまた来られる方、このような方は、サプライを家に送ると結果的にあまり効果的ではないです。

某患者さんがいて、以前使った「PolyMEN」ドレッシングが欲しい、と言います。欲しい、とは、家に送って欲しい、ということです。病院が購入してくれないのなら家に送って、ということです。

訪問看護は、「同居している85歳のお父さんがセクハラをするので看護師が嫌がって来ない」とのこと。看護師は85歳のお父さんのセクハラを受けるほど「柔」じゃないので、それは無いんじゃないかと思いますが、とにかく訪問看護は嫌です、とのこと。

うちの病院は、更なる経営難なので、それ相当の「これじゃなきゃ絶対に駄目」と言う理由がないと、高級なドレッシング材は購入してもらえません。(外科医はこの限りでありません。何でも即購入可能)

それに、それに代わる物も市場にあるので、そちらを購入することになります。

でも、先週、PolyMENのサンプルがあったので、じゃあ、これ使ってみて、と言って渡したら、外来に来た際、その渡したPolyMENが、ズレた場所に当てがわれていて、ドレイネージが結局ちゃんと吸われていない状態でした。さすがに「もう~、これ、高級なんだから、これじゃ全然意味無いよね?!」とちょっとした叱咤をしましたところ、「ちゃんと当てたと思ったんだけど…」と、苦笑でした。

Wound careのサプライを患者さんの家に送るのは、その人を見極めてからでないとなかなかできません。