■COVID-19陽性患者と創傷治療 #253

■COVID-19陽性患者数の急激な増加

■外来に来られない創傷ケアの患者さん

■創傷ケアに対するテレヘルスが確立されていない

■COVID-19陽性患者数の急激な増加

11月末頃から急激に増えているCOVID-19陽性の患者数。町中の人達がコロナに感染しているんじゃない?と思うくらい増えています。

病院の規則で、感染者は、外来のクリニックに来ることは出来ないことになっています。

症状の有る無しに関わらず、陽性と確認されたら、2週間の自宅待機/自宅療養となります。そして、その後、症状が無かったら来ることが出来る、ということになっています。

「CDC」のプロトコルに従い、その後の再検査はされず、症状だけで確認、という形になります。CDCのウェブサイトによると、再検査をする場合は、3か月後、とされています。これは逆に言うと、病院側が大事をとって再検査をしたとしても検査代は病院持ちですよ、ということになるので、そうそう出来ない。検査は200ドル以上するらしいです。

■外来に来られない創傷ケア患者さん

陽性になって、クリニックに創傷ケアのフォローアップに来られない患者さんは、どうすればいいのかわからないので、クリニックに電話をしてきます。

電話を受けたクリニックのスタッフも、患者さんから「どうすれば」と言われても、なんともできないので、最近、頻繁に電話がかかってくる。

また、創傷がある患者さんで、コロナの症状があるとしてER(救急)に来られる患者さんもいて、ERからも「この患者さん、どうする?」と電話が来たりします。

このような現象は、私を含め、どのスタッフにとっても初めてのことです。

創傷ケアのフォローアップを要するどの患者さんも、その状態が生死に関わるわけではないし、緊急度は低いので、創傷ケアは二の次にされます。それは理解できますが、患者さん本人は、「でも、じゃあ、どうすれば?」となるでしょう。

■創傷ケアに対するテレヘルスが確立されていない

私の勤務する病院では、創傷ケアに対するテレヘルス診療が確立されていません。テレヘルス自体が無いわけではありません。実際、テレヘルスで複数の医師はちゃんと「通常」診療されています。

創傷ケアの診療は、実際に見たり触ったりしないことには何とも言えないことが多いです。そういうわけで、テレヘルス診療のシステムそのものが、そこには存在さえしていないのが現状です(私の職場)。

創傷ケアとテレヘルスは、医療現場の課題として、専門誌などでも意見が述べられています。電話でさんざん患者さんの説明や話を聞いても、実際は、聞いて想像した状態と全く違うことも多いです。

また、患者さんの多くは、写真を撮って、とか言う作業さえも難しい。医療従事者側が専用のシステムを用意したとしても、ビデオコールできるような環境が患者さん側に無い場合もほとんどです。

また、創傷ケアに於けるテレヘルスの請求システムもきちんと確立されていないため、病院側としては基本的に受けてほしくないでしょう。でも、患者さん側は必要としています。

患者さんにとっては、不安だし、悪化していくかもしれないし、で、電話をしてこられます。電話で話をするだけでも、安心してもらえるかもしれません。

幸い(と言っていいのでしょうか)、患者さんは、症状さえなければ2週間後には外来に来ることが出来るので、一時的な指示だけで2週間持ちこたえられるでしょう。確率的にも、その間急激に悪化することはあまり無いと思います。2週間後の予約を入れてあげて、簡単な指示をあげる、くらいでなんとかなるでしょう。

でも、それでも、テレヘルスのシステムはやっぱり整備してほしいです。

そして、これから来る創傷治療の患者さんに対しては、「Patient education」の一部として「コロナに感染してクリニックに来られなくなった場合のケア」という内容についても話をするべきだと思わされました。